Appearance
2010 – 2019
アピアランスは、歌う人のポートレート・シリーズである。
撮影を始める前の2009年夏から秋にかけて、私は原因不明の脳症で体調が不安定だったせいか、たびたび子どもの姿に目を奪われていた。子どものエネルギーに憧れを抱いたのと同時に、その危なっかしさや脆弱さに共感を覚えたのだと思う。そんな時、友人の音楽家が子どもに歌を教えていると聞き、「歌う子ども」を撮影したいと思ったのがきっかけだ。
数年後、あるギャラリーで、歌を歌っている青年を見かけた。伴奏もなく、ただベンチに座って歌うその姿は、無防備でありながら、なんとも厳かな雰囲気をまとって周りの人々を魅了していた。その時、大人も子どもも関係なく歌う人には共通する何かがあると感じ、「歌う大人」を撮るようになった。